2012/11/07

光圀伝



水戸黄門として名前だけは無闇に有名な人物を、青春の懊悩を基に再構築した大作。ではあるのだけれど、実際の水戸光圀の巨人さ加減を反映し、青春の懊悩の影響は甚大極まりない。この作品でも重要な位置を占める大日本史と水戸学は昭和まで至る尊皇思想の原点ともなる。ネタバレになるかもしれないが、光圀が冒頭殺すのは、明らかに自らの身から産まれた怪物なのだ。
青春小説の如くさらっと読ませて、こんなに恐ろしい歴史観を内包しているのは、おっかない話であるよ。1人の青年の中二病がこじらせすぎた挙げ句、一国の世界認識を制圧するんだぜ。

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