2017/02/07

銀の世界史



16世紀から現在に至るグローバリゼーションは銀貨の時代だった。近代世界システムの歴史を銀貨流通から描いた一冊。最近は高校世界史で世界システム論を扱うらしく、本書でもコテコテの東大二次の論述問題が例示されているけれど、その世界観をざっくり理解するには好適だろう。その意識なく読み始めて程なくネタ本(「近代世界システム」)がわかる位には忠実な概説書だ。



ちなみに本書を読みながら、再読したくなっていたのが川北「洒落者たちのイギリス史」。これは16世紀以来のイングランドの奢侈禁止令(とその失敗)、ウール業界の時代適応(羊で人を食い殺していた牧羊家がファッションリーダーに!)というイングランドの産業史が、それと明示されないけれど世界システムに関連付けされながら論じられていく。(産業革命の中核たる綿織物に関わるところを全く思い出せないあたり、早く出張から戻って再読したい)