2012/11/09

『ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った』


昨今世の中を騒がせているユーロ危機。その原因と今後想定される問題と展開を大恐慌研究を引きながら考察した本。曰く、大恐慌はアメリカで発生した不況が、第一次大戦後のヨーロッパの構造問題を一気に顕在化させた。構造問題というのは、第一次大戦後の体制がアメリカからの民間資本の流入無しでは維持できなかった事を指す。なんか、英仏がアメリカに借金を返すために、ドイツをドツイて賠償金を取り立て、ドイツは賠償金を払うためにアメリカに借金する構造だったらしい。倒錯的というか手の込んだ多重債務というか、アメリカ覇権前夜という感じではあるが。で、大恐慌と現在との共通点として、火はアメリカに油はヨーロッパにあり、油に火が移ってから状況が悪化することがある。では現在ヨーロッパの構造問題とは何か?本書はほぼ三文字で答える、「ユーロ」。

ではユーロが何故問題かというと、ドイツとスペインのような経済環境の全く違う国で金融政策を共有したら、誰にとっても適切な金融政策ではありえないことだろう。ドイツにとっては少し高い政策金利は、スペインには低かったためインフレ要因となった。で、ドイツで資金調達してスペインに投資するキャリートレードが行われ、リーマンショックでリスクに気づかれた今、大絶賛逆流中という。

現状で求められる対策はPIIGSの信用不安をユーロ全体でケツを持つ事で、必然的に最も経済状況の良いドイツの負担を必要とする。でもドイツはユーロを資金移動同盟には絶対したくないらしい。というか、経済成長のためには財政健全化が有効だと本気で思ってるらしい。結果起こることは、ユーロのドイツ帝国化と破綻だろう。そして、リーマンショックを第一波、ユーロ破綻を第二波として、もう一度大恐慌がおきる(かもしれない)

以下雑感。

今が大恐慌の時代に相当するとした場合、世界経済の中心/覇権がニューヨークからどこかに移動する状況であり、多分最後の局面にあるのだろう。問題は中心の移動というのは、経済世界を全て巻き込むレベルの苛烈な抗争を伴うことだ。まぁ、それも大概勘弁してもらいたいけれども、覇権抗争を行うのはどこだろう?ユーロ全部が沈むとすれば、南米、インド、中国、日本くらいが想定される。ここで、ジオカルチャー的側面に「中国化する日本」の「宋朝-江戸」の対立軸を持って、中国-日本の世界最終戦争が起こった日には「日本負けろ」というしかないなぁ。

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